「介護=つらい」の外側にある景色〜段ボールのラーメン屋台と、ご当地プリンツアー〜

こんにちは。EEFULホールディングス採用担当の吉川です。
以前の記事で、「きつい・汚い・給料安い」という介護のイメージを、データで検証しました。
課題があるのは事実です。でも、それだけでこの仕事を判断するのはもったいない——そんな話をしました。
今回はもう一歩踏み込んで、「じゃあ実際、介護の現場ってどんな空気なの?」というところをお伝えしたいと思います。
私たちが現場で見てきた景色のなかから、特に「これは伝えたい」と思った場面をいくつかご紹介します。
段ボールのラーメン屋台で、無口な利用者が声を上げた
ある施設で、職員が段ボールでラーメンの屋台を手づくりしました。
「替え玉一丁!」と声を張り上げると、普段はほとんど話さない利用者さんが「チャーシュー増しで!」と返してくる。
施設の食堂が、その瞬間だけ即席のテーマパークに変わります。
こうした行事の準備は、正直に言えば手間です。それでも、かけた手間の分だけ場の熱量が跳ね返ってくる。「忙しいのに、また企画しちゃいました」と笑う職員が、現場には少なくありません。
食事にまつわる工夫も印象的です。
嚥下機能が低下している方にとって、トロミ剤だらけの食事はどうしても単調になりがちです。そこである施設では、栄養士と相談して「ご当地プリンツアー」と題した試食会を企画しました。北海道ミルクプリン、名古屋小倉プリン、沖縄黒糖プリンを週替わりで提供したところ、男性利用者の完食率が一気に上がったといいます。
「食事介助」という業務名からは、この景色はなかなか想像できないと思います。
毎回「はじめまして」と握手してくれる人がいる
認知症で短期記憶が難しい女性が、毎回はじめて会ったように「はじめまして」と握手してくれる。
それが、スタッフにとってはその日いちばんの癒やしになる。そんな日常が、現場にはあります。
大正・昭和の荒波をくぐり抜けてきた世代の方々は、逆境を笑いで受け流す達人でもあります。そのユーモアが連鎖して、現場の空気を柔らかくし、緊張や疲労を中和する潤滑油になっていく。
もちろん、体力的・精神的な負荷が消えるわけではありません。
それでも、利用者さんのユーモアとスタッフの遊び心が化学反応を起こす現場には、笑いと充実感が同居する独特の空気が流れています。
介護現場は、教科書に載らない"公開講義"

介護の話をしていて、私がいちばん好きなのがこの視点です。
介護現場に立つと、そこは毎日が「教科書に載らない公開講義」になる、という話。
90代の方が「終戦直後は芋の葉を煮て食べたよ」と笑う。80代の方が「住宅ローンなんて聞いたことがなかった時代に、三世代で雑魚寝した」と振り返る。
こうした語りは、歴史書でもビジネス書でも味わえない一次資料です。聞き手であるスタッフは、介助者であると同時に、聴講生でもあるわけです。
そして、聞くだけでは終わりません。
新卒1年目の職員が仕事に迷いを口にしたとき、元経営者だった利用者さんが「失敗は借金ではない、経験という資産だ」と背中を押してくれた。
別の若手スタッフは、海外留学を迷っていた頃に、戦時中の外貨事情を身をもって知る女性から「若いときに海外を見ておきなさい」と助言をもらい、ついに夢を実現させた。
介護現場は、利用者と職員という役割を越えた「人生の交差点」なのだと思います。語り合いのなかで、未来への選択肢が思わぬかたちで開いていく。
そして、こうした人生史はケアの質そのものにもつながります。
たとえば、戦時中に長距離の歩行を強いられた経験がある方には、「歩くことが誇りだった」という心理的な背景があります。だからリハビリの目標を"距離"ではなく"目的地"で設定すると、モチベーションが上がる。人生史をケア計画に盛り込むこの手法は、認知症の行動・心理症状の緩和につながるというエビデンスも報告されています。
「支えているようで、支えられている」
介護の現場で長く働く方から、こんな話を聞くことがあります。
利用者さんを支えているようで、実は自分のほうが支えてもらっている。「あなたがいてくれてよかった」と声をかけてもらうと、自分の存在が肯定される気がする。だから、この仕事を続けられるのだと思う——。
介護は単なる労働ではありません。人と人とが互いに支え合い、そこから生まれる喜びを実感できる現場です。
だからこの仕事は「意外に悪くない」どころか、働く人にとっても人生を豊かにしてくれる場なのかもしれない。私たちはそう考えています。
ここからが、EEFULの話です
さて。ここまでは、介護現場の「良い景色」の話でした。
ただ、この景色は放っておいて生まれるものではありません。
段ボールの屋台を作る時間。ご当地プリンを企画する時間。利用者さんの人生の話を、腰を据えて聞く時間。
これらはすべて、現場に"余白"があってはじめて生まれるものです。
そして、いまの介護現場から余白を奪っているものは何か。
国保連への請求業務では、毎月の入力とチェックが発生し、締め日の前後は残業が常態化する。LIFE(科学的介護情報システム)へのデータ提出では、利用者ごとに十数項目を入力する必要がある。事故報告書、感染症マニュアル、研修資料、インフルエンザやノロウイルスの再発防止策——書類は積み上がる一方です。
その結果、「利用者の顔を見る時間」よりも「モニターを見つめる時間」のほうが長くなり、スタッフのやりがいの核心がぼやけていきます。
だからこそ、当社の代表・森山穂貴は「介護のDX」に対して、はっきりとしたアンチテーゼを掲げています。
工数削減や生産性向上を目的にするなら、DXは確かに最高の手段だと言われる。けれど介護は、人と人とのコミュニケーションが織りなす産業です。つまり「人」こそがすべてで、最も生産性を高めるのは、職員が「もっとこの利用者さんに貢献したい」と思える職場をつくることなのだ、と。
効率化のための効率化ではない。現場が人に向き合う時間を取り戻すために、テクノロジーを使う。
これが、EEFULが事業をつくるうえでの出発点です。
テクノロジーで、現場に「余白」を返す
いまEEFULホールディングスが進めているのは、大きく3つです。
① 事業承継プラットフォーム(succession.eeful-hd.com)
後継者不足に悩む介護事業所の経営承継を支援しています。事業所が単独で抱えていた採用コスト・事務負担・資金繰りを、グループの共通基盤に載せることで、現場に還元できる余力を生み出します。
② SaaS・BPO領域
請求・労務・購買といった間接業務を、テクノロジーとオペレーションの力で引き受けます。介護事業所の平均営業利益率は3%台。この構造を変えなければ、処遇改善も現場の余白も生まれません。
③ 介護事業の運営
大阪・堺エリアで20施設以上を運営し、訪問看護・訪問介護・通所介護・障害福祉など、地域の暮らしを支えています。2026年10月には東京・港区芝浦にも新拠点を開設予定です。
現場を持ちながら、現場を支えるプラットフォームもつくる。 この両輪であることが、EEFULの強みだと思っています。
「現場が何に困っているか」を机上の空論ではなく、自分たちの事業所のリアルとして知っている。だからこそ、本当に効く仕組みを設計できます。
一緒に、現場の余白をつくりませんか
段ボールのラーメン屋台も、ご当地プリンツアーも、人生の交差点で交わされる会話も。
すべては、現場に余裕があるからこそ生まれるものです。
私たちがやろうとしているのは、その余裕を生み出すこと。介護を「報われる仕事」にするための、構造そのものへのアプローチです。
介護事業所のM&A・経営承継に関わりたい方
SaaS・BPOで、業界の生産性そのものを変えたい方
経営企画・財務・人事として、急成長中のホールディングスをリードしたい方
介護現場のオペレーションを設計・改善したい方
「介護業界に興味はあるけれど、現場職以外でどう関われるかわからない」という方にこそ、知っていただきたい領域です。
ちょっとでも気になったら、ぜひ気軽に話を聞きに来てください!
📖 今回お伝えした現場のエピソードや、介護業界の構造的な課題については、代表・森山穂貴の著書『未来をつくる介護 ── 高齢化時代の新しいライフスタイル開発』(クロスメディア・パブリッシング)でさらに詳しく書かれています。よろしければ、あわせてご覧ください。

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