世界は、日本の介護を「いま走っている実験場」として見ている〜ハーバード、WHO、そして中国・タイカン〜

こんにちは。EEFULホールディングス採用担当の吉川です。
「介護」と聞いて、どんなイメージを持たれるでしょうか。
日本国内の、どちらかというとローカルで、内向きの話——。そう感じる方は、決して少なくないと思います。
でも実は、いま世界がいちばん熱心に日本を観察している分野のひとつが、介護です。
「いつか参考にされるかもしれない遠い存在」ではなく、「いま走っている実験場」として見られている。今回は、その理由を3つの角度からお伝えします。
① 政策と学術が向けるまなざし
まず、政策と研究の世界から。
OECDやEUの専門家が、日本の地域包括ケア会議に同席しています。しかも、介護保険料を決める自治体のプロセスまで、つぶさに観察している。
ハーバード大学の公衆衛生大学院では、日本の認知症ケアのデータが教材になっています。大学院生がオンラインで日本のケアチームに直接質問を投げかける、という授業が常設されているそうです。
「日本の事例を後から学ぶ」のではなく、いま動いている現場に、リアルタイムで質問が飛んでくる。この距離感が、日本の置かれている位置をよく表しています。
② 産業界が見つけた「実証フィールド」としての価値
次に、ビジネスの世界から。
海外メーカーは、見守りセンサーや介護ロボットを、まず日本の現場に持ち込みます。日本の高齢者の生活リズムや身体寸法に合わせて調整したうえで、自国や第三国へ逆輸出していく。
自動車産業でも同じことが起きています。高齢ドライバーの課題を抱える国内メーカーが自治体と連携し、シニア向けのオンデマンド交通を実証する。その成果が、北米の自動運転開発企業と共有される。
なぜ日本なのか。
企業が注目しているのは、「高齢者の多様な生活実態を、短期間でサンプルとして取得できる」という環境です。
つまり、現場が持っている実証インフラの厚みそのものが、いちばんの魅力として映っている。日本の介護現場は、世界にとって「実験ができる、数少ない場所」なのです。
③ 医療・介護データの、国際的な希少価値
そして3つ目が、データです。
介護保険のレセプトと、LIFE(国が進める科学的介護のプラットフォーム)のデータを合わせると、のべ1,000万人規模の縦断データになります。しかもそれは、サービスの利用状況からアウトカム(結果)までを横断的に示すものです。
これだけの規模と質を両立したデータセットは、世界的に見ても希少です。
WHOは日本政府と協働し、このビッグデータを用いたAI認知症予測モデルの開発を進めています。数年以内に5か国へ技術移転する計画も公表されました。
カナダやドイツの研究機関も、匿名加工されたデータを用いて、転倒防止プログラムや在宅リハビリ介入の効果検証を行っています。
質と量を兼ね備えたデータセットが、国際的なエビデンス生成の最前線を、日本に引き寄せている。そういう状況です。

一方で、日本が学ぶべきこともある
ここまで「世界が日本を見ている」という話をしてきましたが、その逆もあります。
当社代表の森山穂貴は、中国の高齢者施設「泰康之家(タイカン)」を訪れています。生命保険会社が展開する、大規模なCCRC(生涯活躍のまち)です。
そこで出会ったある高齢の女性は、こう話したそうです。
「あー忙しい、忙しい。私はね、今日は分単位のスケジュールなのよ」
朝は語学の授業から始まり、トレーニング、音楽鑑賞、ビュッフェ、麻雀、そして夜のイベントまで。予定がぎっしり詰まっている。
「タイカンにいて、寂しいと思ったことは一度もないわ。むしろ友達は増えるばかり。何万人もの人が同じ場所に暮らして、同じアクティビティをする。かといって、参加を強制されることもほとんどない。私は自分がやりたいことをできるの」
「息子や娘も喜んでいるわ。親がずっと元気でいてくれることが、彼らを安心させることにもなる。だから彼らも仕事に勤しむことができる。これは、高齢になった私が果たすべき役割よ」
印象的なのは、タイカンの建物が決して豪華絢爛ではないということです。一つひとつのつくりは、むしろ「学校」に近い雰囲気だといいます。
入院体制も整っていて、終のすみかとしての機能も完備されている。それでも、お元気な方に対してスタッフが大きく介入することはなく、入居者同士のコミュニケーションに委ねている。
「高齢者を、高齢者扱いしない」空間が広がっている、と。
高級な高齢者向け住宅というと、シャンデリアや広い専有面積を思い浮かべがちです。でも、本当に必要なのは「コミュニティ」と「エンターテインメント」なのかもしれない。むしろ少し狭くて、人と人との距離が近く感じられる瞬間のほうが大事なのかもしれない——。
日本は高齢化先進国として、独自のやり方を築いてきました。うまくいっていることも多い一方で、課題も山積みです。
世界から注目されているからこそ、日本もまた海外から学んでいい。そうして、世界が真似をしたいと思える「KAIGO」をつくる。それが、私たちに求められていることだと考えています。
ここからが、EEFULの話です
さて。世界が日本の介護に注目している理由は、大きく言えば2つでした。
現場の厚みと、データです。
ただ、正直に言えば、この2つはまだ十分に活かされていません。
現場は、請求業務や書類作成に追われています。せっかくの実証インフラも、日々の業務をこなすだけで手一杯になれば、新しい取り組みを受け入れる余力は生まれません。
データも同じです。事業所ごとにバラバラのシステムに閉じ込められたままでは、価値になりません。統合され、横断的に見られる状態になってはじめて、意味のあるデータセットになります。
世界が注目する価値を、本当に価値として引き出すには、それを支える基盤が要る。
EEFULホールディングスがやっているのは、まさにそこです。
① 事業承継プラットフォーム(succession.eeful-hd.com)
後継者不足に悩む介護事業所の経営承継を支援しています。単独では抱えきれなかった採用コスト・事務負担・資金繰りを共通基盤に載せ、現場に還元できる余力を生み出します。
② SaaS・BPO領域
請求・労務・購買といった間接業務を、テクノロジーとオペレーションの力で引き受けます。バラバラだった業務とデータを、ひとつの基盤に集約していきます。
③ 介護事業の運営
大阪・堺エリアで20施設以上を運営し、訪問看護・訪問介護・通所介護・障害福祉など、地域の暮らしを支えています。2026年10月には東京・港区芝浦にも新拠点を開設予定です。
現場を持ちながら、現場を支えるプラットフォームもつくる。この両輪だからこそ、机上の空論ではない仕組みが設計できると思っています。
「世界に冠たる介護産業」を、一緒につくりませんか
日本は、世界でもっとも早く高齢化が進んだ国です。
それは「課題先進国」であると同時に、「解決先進国」になれるということでもあります。すでに世界は、そういう目で日本を見ています。
私たちがやろうとしているのは、その可能性を、実際の産業として立ち上げること。
介護事業所のM&A・経営承継に関わりたい方
SaaS・BPOで、業界の生産性そのものを変えたい方
経営企画・財務・人事として、急成長中のホールディングスをリードしたい方
ヘルスケアデータの活用に、事業として取り組みたい方
「日本発で、世界に通用する産業をつくる」——その言葉に少しでも引っかかるものがあれば、ぜひ一度お話ししましょう。
ちょっとでも気になったら、気軽に話を聞きに来てください!
📖 今回お伝えした海外の動向や、中国・タイカンの現地レポートについては、代表・森山穂貴の著書『未来をつくる介護 ── 高齢化時代の新しいライフスタイル開発』(クロスメディア・パブリッシング)でさらに詳しく書かれています。よろしければ、あわせてご覧ください。

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